定刻に近づき、前方の押し合いへし合いが激しくなった。のを、2Fの真ん中辺りから見ていた。19時を数分過ぎた頃にエレカシ登場。宮本さんは黒のロンTとスキニーでマッチ棒みたいだった。宮本ー!みやじー!トミー! と、いつもと変わらぬ声援が聞こえた。
会場に入る前は周りがミスチルファンと関西弁ばかり。東京から来たエレカシファンにはアウェー過ぎると思っていた。
一発目、「おはようこんにちは」で怒声が響くと、場内が熱気に包まれるまで時間はかからなかった。みんな拳を突き上げ、ミスチルファンとエレカシファンがひとつになった。“あんまり盛り上がってくれたので、面食らってます”とのこと。この盛り上がりは大阪ならではだと思う。乗るのが上手い宮本さんと乗せるのが上手い大阪人がハマると相乗効果が生まれるらしい。
「悲しみの果て」が始まると歓声が上がった。知ってる曲だからかみんな嬉しそうだった。生のこの迫力、この美声、どうよ! とか思ったりして。
「TEKUMAKUMAYAKON」のタイトルコールで笑いが起きる。イントロで手拍子を求める宮本さん。素直に全員参加するあたりがワンマンと変わらない。腰を振ってリズムを取る宮本さん。ステージの端から端を行ったり来たり。もうちょっと抑えた方が〜と、余計な心配をし始める。ライティングが見たことないくらい色とりどりだった。
“呼んでくれてありがとう。ミスチルみたいなバンドはいなかった。いつもトップランナーで目標です”みたいなことを言っていた。お客さんの反応ばかり気にしていたから肝心のMCをあまり覚えていない。何目線なんだろう。
まさかの「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」。
“新しい曲を聴いてください”と、息を整え「RAINBOW」。力んで歌う宮本さんを凝視する隣のミスチルファン。終わった後に“しんどそうやなあ〜”って、そっちか。
息を吹き返したかのような「Destiny」、「愛すべき今日」。一音一音はっきり聞こえ、高音が良く出ていた。
メンバー紹介でなぜか、トミをヒラマミキオと紹介しそうになる。“私が総合司会の宮本です。お見知り置きを!今日はベストメンバーできました。ミスチルに対抗するため”笑いを取るのを忘れない。
「ハナウタ」でカウントを間違えてやり直し。「俺たちの明日」で会場が明るくなり、一体感が増す。そんなに歌いやすいのかというくらい声が出ていた。
“今歌ってて思い出したんですけど、20年くらい前にミスチルと同じステージに立ったことがあって、桑田さんのAAAというイベントに呼んでもらって、自分たちは契約してない時期だったけど、裏で「innocent world」を聞いてドキドキして感動したのを覚えています。ミスチルとはそれ以来です。あと、新潟でイベントが中止になって以来です”と、中止になってないap bankフェスを忘れる宮本さん。
温かい拍手を送られ、“そんな和やかなムードの中で、しかし一体お前どう思ってんだ”と始まった「ガストロンジャー」。対バンだと痛快。やっぱり宮本さんは格好良いと結論した。
「ファイティングマン」でいつも通り見栄を切る。ステージを走り回る。終演かと思ったが、ステージ下手を見て“まだ出来る?”と。
“お呼びじゃないけどもう一曲”で「桜の花、舞い上がる道を」を歌いきる。歌う前はボロボロ、肩で息をしていたのに、なぜ。
1時間の演奏。終わってみると、会場の空気はワンマンと変わらなかったという印象。いつもの大阪。
そして宮本さんは投げキッス多めで、すごく元気だった。ヒラマさんのマイクスタンドに倒れ込み、ドラムセットによじ登りトミに襲いかかり、蔦谷さんの後ろでケーブルに絡まっていた。
転換20分、ミスチル登場。桜井さんは意外と体格が良さそう。なんて思うのは、マッチ棒の宮本さんを見慣れているからか。そう言えば、大型バイクを乗っているとか何とか。
元々持っているアルバム4枚と、最新の『REFLECTION{Drip}』を聞いて予習したものの、ヤマを外してしまったようだ。しかしそこは国民的モンスターバンド、日本人ならどこかで触れてるミスチルソング。聞いたことがある曲がいくつかあったし、なんだったら口ずさめる曲もあった。
「掌」はかっこ良かった。途中からオリジナルと違い、サニーさんから始まる桜井さんとの歌の掛け合いがあった。少し溜めてるようなじれったい感じが良かった。ハモりではないのでサニーさんの歌の上手さと声色がよく分かった。「悪魔のささやき」ツアーの時は宮本さんの声と奇麗にハモっていたけど、桜井さんの声とも馴染んでいた。“キーボード&ボーカル”として紹介されるのも頷ける。
何かの曲で、ドラムの鈴木英也が語り始め、イーチ、ニー、サーン、ダーーー!となった。分けが分からぬままダーーーだけ間に合って良かった。
桜井さん曰く“エレファントカシマシさんとのギャップが激しい。特に猪木”だそうだが、大丈夫。付いていける。“(エレカシが)大好きなんですよー。昔、明大の学園祭で見て、衝撃でした。衝撃でした。衝撃でした。”と、3回繰り返すほど衝撃だったらしい。“エレカシと同じオーディションを受けて、個性がないと言われ、個性に憧れ、髪を立てたり、ガチャピンとムックのムックみたいな衣装を着たり、すればするほど個性が失われ、デビューしてしばらくするうちに、これでいいんだと思うようになった。もう無個性です”笑いが起こる。それでいいのかミスチルファン。「個性」が服を着て歩いているような宮本さんと比較されても難しいものがある。“今日は上からエレカシのライブを見ていて、個性と迫力に影響されそうになるのを、違う、あれは真似できないもの、とこらえた。でも少し自分の中に宮本さんがいるんです”と。この話で一気に桜井さんが好きになった。
“くーだらねえとー つーぶやいてー さめたつらーしてあるーくー”と、“おーはよー こんにちーはー さよおーなーらー”を何かの曲の途中に入れていた。生で聞けて貴重だ。
ちなみにミスチルを生で見るのは「奇跡の地球」のコンサート以来。最後の方で童謡か何かの替え歌を歌ったときに、桑田さんの歌は聞き取れるのに桜井さんは何を言っているのか全く分からなかったという残念な記憶がうっすらある。今日はほとんど聞き取れた。改めて聞いて当たり前だけど上手いなあと、たまにかかるビブラートの揺れがすごく奇麗だなあと思った。
ライブがCD音源と同じように聞こえるミスチルと、CD音源とは別ものに聞こえるエレカシ、という違いが面白かった。
No. | 曲名 | 回数 |
---|---|---|
1 | おはよう こんにちは | 6回目 |
2 | 悲しみの果て | 46回目 |
3 | TEKUMAKUMAYAKON | 2回目 |
4 | こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい | 11回目 |
5 | RAINBOW | 2回目 |
6 | Destiny | 3回目 |
7 | 愛すべき今日 | 2回目 |
8 | ハナウタ~遠い昔からの物語~ | 21回目 |
9 | 俺たちの明日 | 37回目 |
10 | ガストロンジャー | 39回目 |
11 | ファイティングマン | 38回目 |
12 | 桜の花、舞い上がる道を | 15回目 |
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