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当時は、まだ大阪に住んでいたから、仕事帰りにサンケイホールへ向かった、ロケーションは、キタのビジネス街のど真ん中。産経新聞社のビルの中にホールは位置しキャパは大体1500くらい。そんなにでっかいホールではない。 まず会場に着いて確認したかったのが、何人くらい集まるのだろう?と、いうこと、そして客層はどんな感じなんだろう?グッズとか売ってるのだろうか?……・こんなに疑問符を抱えてライヴに行くのはホントに久しぶりだった。中学に戻ったみたい。集客に関しては二階席は全く人がいず、一階席も半分くらいしか埋まってない。客層は十代後半から二十代前半、か゛殆ど。グッズに関しては、パンフなど当然なく、歌集と風呂敷。もう、なんか信じられない世界である。そして今はどうか知らないが、当然CDなんかも売ってて、それの特典としてサイン色紙が付いてきて、それが普通の色紙に四人がそれぞれ縦に楷書で名前を書いただけの素気ないっていうか、笑えるシロモノだった。 そして会場にはSEは流れておらず、セットは今とそう変わらず質素なもので、照明の骨組みなんかも全くなし。「あー今から始まるんや・・」と妙な緊張感と期待感で胸がいっぱいになりかけた時、唐突に客電が落ちた。 舞台上手より「せいちゃん」「トミー」「石君」が飄々と現れ、それに少し遅れて宮本が伏目がち登場と中央へと進む。パイプ椅子に座りテレキャスターを抱え、あのフレーズ弾きだした。音はそんなに大きくなくCDと同じような歪み具合で観客は固唾を飲んで見守るばかり。当然立ち上がる人間なんてひとりも居なかった。 イントロが終り、顔を正面に見据え、口をマイクに近づけ第一声。 「笑顔もて優しげに」。 アルバム「5」のオープニングナンバーと同じく、今日のライブのオープニングも「過ぎゆく日々」だった。この曲が始まった瞬間、いや宮本が声を発した瞬間、限りなくハウリング寸前までに設定されミキシングにより、会場の囁き声や、ギターの音色も一切が消え、宮本の声のみが会場を制した。ボクシングに例えれば、1ラウンドKO、それもたった一発のパンチ僕はでマットに沈んだ。 それからこれといったMCもなく淡々とライヴは進んだ、スコアはアルバム通り、曲順も2曲ほど昔のアルバムからやっただけで全く同じに演奏された。曲と曲のあいだ客席は静まり返り、所々で咳払いが聞こえるのみ、ほとんどクラシックコンサート会場みたいになり、そこではそれぞれが宮本の声と対峙する事だけが許され、無意識のうちに金縛状態になつていた。 「曙光」が終り、メンバーがそれぞれステージを去り客電がつく。アンコールを求める声もなく、皆呆然と着席したままだ。 「これは何なんだ、ロックコンサートなのか?」 倒錯した思いのままロビーに出ると他の客達の反応は様々。 「ええライヴやったけど、こんなんでやってたら、しまいに客けぇーへんようになってまうで」 「すごい」 この日言える事は、この日のライヴは(これまでもそうだったかもしれないが)ひとりのリスナーが受け止める事の出きるキャパを完全に超えていた事。高揚感、カタルシス……・ある種の予定調和的に通常のロックコンサートに付随するものが何もなかった、という事。いや言葉にする事すら許されない、宮本の圧倒的才能が現前としただけなのかもしれない。 あの日どうやって家に帰ったのか、 今でも思い出せない。
あの日から一年、再び同じ場所で「エレファントカシマシ」のライヴを体験することになった。「5」リリース後、これといったチャートアクションもなく、エレカシをめぐる環境はほとんど無風状態。それが如実に現れていたのが当日の客の入りで、二階席は去年と同じく全くゼロ、一階席ももしかしたら去年より少なかったかもしれない、閑散とした状態で、今から驚愕のライヴが始まるぞ、っといった緊迫感の欠片もなかった。しかし周囲の空気とは正反対に、僕の中では期待感というか、宮本がこれからどうやって「奴隷天国」をどう料理するのか、その一点に集中し思いは高まっていった。 定刻となり、おもむろに客電が落ちる。昨年同様メンバーがぞろぞろとステージに現れ、それぞれポジションにつく。石君がギターのボリュームをあげリフを奏ではじめる、てっきり今回はニューアルバムのお披露目ツアーなわけだから、てっきり「奴隷天国」で始まると思っていたら、聴きなれたあのリフレインが会場に鳴り響いた。 「ファイティングマン」である。 この曲を聴衆は全員席を立つこともなく、手を叩くわけでもなく、手を振り上げることもなく、声をあげるわけでもなく、皆、微動だにせず聞き入る情景はある程度想像していたとはいえ、実際に目の当たりにするすると、奇異というか異様というか、確かに言葉では言い表せないものがあった。 当日のMCの中で、宮本はレコード会社に対し悪態をつき饒舌に苦言を呈した。今思えば契約切れ寸前のところまで「エレカシ」は追い込まれ、状態としてはあまりいいものではなかったんだろう。 内容としては、「奴隷天国」の中からの選曲は少なく、まんべんなく選んだ感じがした。はじめて聴く「珍奇男」の狂気、「遁世」の静謐感、それは現在の状況が良くないだけに逆に宮本は切実に唄うことが出来たのではないか、ある種の切迫感が、宮本の表現欲に油を注ぎ、秀逸にライブを纏め上げていく。そして最終曲『奴隷天国』でそれはピークに達し「おめぇーだよ」と叫ぶ宮本の目は本気、宮本に指差される我らの恐怖も、紛れもなく本物だった。 ある意味、記憶から消す事の出来ないライヴだった。
オープニング曲「ドビッシャー男」、エンディング曲「ファイティングマン」以下順不同「土手」「悲しみの果て」「四月の風」「孤独な旅人」「無事なる男」
今思い出しましたけど、この時フラカンのメンバーが客席にいました。最後まで立たずに腕組んで見てました。 勢いがありました、はい
短くもあり濃いライブでした。
新宿コマ劇場という場所の勝利ですね。 感動しました。
地に足がついたライヴでした。
「月の夜」が自分にとってのベストでした。
何か若さに圧倒されてしまいましたね。 アンコールで歌ったガストロンジャーはどんぴしゃはまってました。 「てって」「ファイティングマン」こう流れたら次はないと思いました。 アンコールの声は続いていましたけど。
長丁場だったけど、最後までダレなかった。 宮本の声の状態がこれほどいいらいう゛も珍しい。 「真夏の星空は少しブルー」 出来れば最初からハイキーで歌たって欲しかったな 凄く好きな曲です。 「武蔵野」 これも久々でしたね。 感無量って感じでした。 また後1年頑張ろうと思いました。 頑張って野音に行こうと思いました。
良い感じで響いてました
やっと「見果てぬ夢」を聴く事が出来ました。
初日です
最高のライヴでしたね