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孤独が鳴り響いていた。
14年ぶりのエレカシライヴ。 暗闇の中に、宮本さんの顔だけが白く浮かび上がった瞬間が今も忘れられない。 闇に射し込むひとすじの光のようだった。 なぜだか私はニヤけていた。しかもずっと。 うれしくてうれしくて、笑みがこぼれるのを抑え切れなかった。 そしてちょっと泣けた。
私がライヴに行こうと思った時、大阪のチケットはすでに売り切れで、京都磔磔とどっちに行こうか悩んだが、今考えると両方行けばよかった。 ものすごい爆音をいただいてしまい、翌日まで耳がおかしかった。 でも勝手に音に包まれているような気分を感じて、それを幸せだと思っていた。 その幸せだ、という感覚だけが今も残っている。
「達者であれよ」で宮本さん歌詞を思い出せず、歌詞カード?を見ながら朗読。 そこで冨永さんの(たぶん)スネアを合図に、バンドの演奏が入ってきたのが、たまらなくカッコよかった。 これが一万回目の旅のはじまり。
はじめての東京。道に迷いまくって、完全におのぼりさん状態。 エレカシのせいで、東京が好きになってしまった。 宮本さんは変なテンションで、幸せと寂しさは裏腹であるということを学んだ。
やはり宮本さんのハイテンション炸裂。しかも最初から。 私個人的には、どの曲がどうと言うよりも、冨永さんの笑顔がいちばん印象的だったりするから失礼な話だ。すいません。 それでもあえて言うなら「昔の侍」。異空間に引き入れられそうだった。
改装前のチキンジョージはいつも見づらかった。宮本さんは見えたり見えなかったり、石森さんと高緑さんはたいがい交互にしか見えないし、冨永さんはまったく見えない。 でもやっぱり熱くて好きだった。ノリがいいっていうのもあるけど、宮本さんの弾き語りの時は、最後のギターの音の余韻が消えるまで誰も拍手しなかった。それもまた熱さゆえだと思う。 名もなく埋もれたであろう、メンバー紹介の曲がカッコよかった。 今思えばああいうのは「まぬけなJohnny」の礎なのかな。
いい感じの浮き方。
笑顔のまま倒れてしまいそうだった。
ゆりかもめから見た東京タワー。武蔵野。
冨永さん復帰後初コンサート。 トミ、おかえりー!の声がしきりに飛び交った。 そんなに照れくさそうにしなくてもいいのに。
空に満月。立見席から見た、豆粒みたいな4人。完全燃焼だった。
たしか蔦谷さんが加わってはじめてのコンサート。まとまり方が違うな、と思った。ホールもいいんだけど、野外でエレカシ、いい。
「翳りゆく部屋」に涙。今まで見たことのない宮本さんを見た気がした。
燃え尽きた。なんだかお互いに命を削っているような。でもここでやらなくて、いつそうするんだ、と。
現在発売中のロッキングオンジャパン4月号のレヴューに、感想文を掲載していただきました。そちらにすべて書いてあります。
アンコールを見ずに帰らなければいけないのが、非常に悔しかった。 なんと言えばいいのか・・・感無量。 心を空にして、音のど真ん中へダイブしろ。 と言われているみたいだった。 いろいろあるけど、胸を張って生きていこう。
ライブ前日になって、こちらの掲示板がきっかけでチケットを譲っていただくことができた。譲っていただいた方と、管理人さんに感謝します。 もはや細かいことは憶えていない。 ただもう宮本さんの声が凄かったというのと、トミさんが曲終わりのタイミングを見計らって腕を振り下ろしていたことは憶えている。 宮本さんの「イエーーーッ」という身体の奥から、心の奥からの叫び声は、いつも心を震わせる最強の武器だ。 この日来ることができてよかった。 エレカシを聴いててよかった。 エレカシを聴いてきたのは、間違いじゃなかった。