管理日誌エッセイ
『敗北と死に至る道が生活』その4
ミヤジは『勝ちにいこうぜ』と叫ぶ。彼は『勝つとは売れること』と明言している。
向井亜紀の『16週』という本を読んだ。端的に言うと、子宮ガンを取り自分の体を守るか、子宮ガンと共存し子供を産むまでギリギリ粘ってから子宮ガンを取るかという究極の選択をせまられた葛藤と苦悩の手記である。
私はこの本を読んで少し反省させられるところがあった。私は結論を急いでしまうのである。というか結局最終的にはどちらかの結論が出るのだから悩んだって仕方が無いじゃないか、と思ってしまうところがある。
しかし、向井亜紀は最後まで子供を守ろうとする。赤ちゃんを出産してから子宮ガンを取ってもいいのではないか。『それまで私は死なない自信がある』と思い込む。夫や医者や家族は向井が死んでしまっては元も子もないと説得する。しかし向井は最後まで諦めきれない。
結局は堕胎し、ガンを摘出し、今は元気に生きている。
このことから私は2つの選択をせまられた場合にも、はじめから諦めてしまうのと、戦って戦ってたどり着いた結果が例え同じだとしてもその過程が大切なのだということを認識せざるを得ない。『赤ちゃんは楽に逝けるのですか?』そうまで愛された胎児は恐らく意識は無いのだろうが、愛されて死んでいったことに意義がある。
エレカシ風に言えば、勝つか負けるか。
ミヤジの戦いは続いている。妙な言い方だが私はエレカシが勝たずにいつまでも戦いつづけるその姿を見たいのかもしれない。