『敗北と死に至る道が生活』その469
私は『そんなこと知ってるよ』と言われるのが大嫌いだ。知らないかもしれないと思って教えてあげたにも関わらず、たまたま先に知っていただけで、そんなに偉いのかと思う。こんな人にはもう何も教えないことにしている。知っているかもしれないからだ。知っていたらまた『そんなこと知ってるよ』と言われることだろう。だから私が逆の立場の場合はつらい。知っていても知らないことにして話を合わせるからだ。私は何も知らない立場を演じるわけだから、いちいち初耳のような耳をして驚かなければいけない。相当の演技力を強いられている訳で、売れない役者よりも日々演技していると言えるだろう。何故ならば、売れない役者と比べるからだ。
相手が途中で『この話、前にしなかったっけ?』と言われると更につらい。明らかに前にされているのに知らないフリをしているのだから、相手から見れば単なるバカに見える。私は本当に何も知らない状態になりたくて、(映)映画も(TV)テレビも新聞も雑誌も(本)本も何も見ないことにした。うっかりしていると『全く流行った気配もない”毒まんじゅう”が流行語大賞を受賞した』などという(糞)糞の役にも立たない情報を知ってしまうからである。