『敗北と死に至る道が生活』その470
鼻をかんだあとのティッシュをじっと見つめてしまうということはないだろうか。私は少なくともないのである。実家の部屋を掃除していたら、昔のカーナビのカタログが出てきた。CD-ROMナビの出始めのころのやつ。宣伝文句には『新しい地図情報は更新されたCD-ROMを交換するだけで書き換わります。また操作などのバージョンアップもCD-ROMで提供されるので常に新しい状態で使用することが出来ます』と。
ちなみに該当製品は製造終了。当然新しい状態で使用することは出来ない。『嘘つきじゃないさ。時間が過ぎただけさ。あぁ。涙こぼれて。ただそれだけ』。主流はDVDからHDDに移行している。当時は『すげぇなぁ』と思ったがハードウェアの進化と共に製品自体がなくなっている。そう考えると今、VHSテープを一生懸命DVDライブラリ化している人がたくさんいると思うが、DVDだって怪しいもんだ。10年後にはDVDから何か新しい媒体に移行しているかもしれない。DVDをせっせと別のメディアにコピーする。死ぬまでそんなことばかりしている。
何もかも捨ててしまえばそんなことしなくていい。私は手ぶらでハワイに行って、手ぶらで帰ってきたことがある。現地で海水パンツ、ビーチサンダルを買って使い終わったら捨ててきた。税関で荷物はないのかと聞かれるのがうざかったが。何もかも捨ててしまえば人生かなり楽だ。