『敗北と死に至る道が生活』その691
テレビから匂いが出ないのは何故だろう。誰もが『そんなの無理だろう』と思っている。視聴者側にあらかじめ用意された匂い発生装置に何らかの香りを仕込んでおけば出るのだろうが『何らかの香り』とは何だ。1つの香水の香りしか出せないのではないか?化膿姉妹の匂いとか。メシが不味くなりそうだ。などなどド素人が考えて考えて考えて考えて無理だと判定する。それは自分がド素人だからだ。例えば原始人に『今の音を再生してみろ』と言っても何をどうすればいいのか分からないだろう。音をどうやって録音し、再生すればいいのか分からないばかりでなく、言葉も通じない。
例えば原始人に『見たままの風景を洞穴に戻って子供に見せてやりなさい』と言っても何をどうすればいいのか分からないだろう。風景をどうやって保存し、再生すればいいのか分からないばかりでなく、子供がいないかもしれない。
そう考えてみれば音楽や映画などの技術がこれだけ発達した社会に生まれてきた私たちは感謝すべきなのだ。エジソンやトーマスに感謝するべきなのだ。それを忘れて昼間っからクーラーをつけ、せんべいをかじり、ケツを掻きながらテレビを見ている贅沢を『あ~暇だ』などとほざいていてはいけないのである。
匂いについては私たちはまだ原始人レベルだ。グルメ番組で匂いつきだったら相当辛い思いをしなければならない。『からい』と『つらい』が同じ漢字だというのは辛い。
テレビから匂いが出たら、それは故障の合図。間違いない。