エレファントカシマシDB 管理人の日記 2009/01/09(金)

一番下へ

『敗北と死に至る道が生活』その1897
寒いのでついうっかりラーメンやらカレーうどんばかり。
ままごとみたいな生活をしている皆様今晩は。そりゃ私だ。

巷では「絆」のフルオンエアが話題になっているが、私はストーンズに浸っている。後続のバンドが次々と解散してゆく中まるで縄文杉のように佇むストーンズは世界遺産に登録しないといけない。

ストーンズ愛に満ち溢れた観客とストーンズ愛に満ち溢れた映像をストーンズ愛に満ち溢れた人々が映画館に足を運ぶという地球に生まれて月を見る。

夕べの月は真上に出ていた。ミック・ジャガーはかれこれ何十年もスポットライトを浴び続けている。それが映画のタイトルである「シャイン・ア・ライト」。ステージを撮影したのでなく、撮影のためのステージに観客を入れた。これだと数十台のカメラも受け入れて見ることが出来る。

映画の冒頭にこんなシーンがある。

照明スタッフ「ライトを当て続けるとミックが燃えてしまいます」
監督「火が出る?」
照明スタッフ「出ます」
監督「ミックを燃やす訳にはいかんだろう」

当たり前だ。ステージのライトというものがいかに熱いか分かる。ミックも途中で「ケツが焼けそうだ」と言っていた。ライトが熱いからステージを駆け回っているのかとも思える。当然ライトは執拗についてくるのだが。ライトの熱は鉄を延ばすのでいちいちチューニングが狂うほどだとか。なのでどのアーティストもほぼ1曲ごとにギターチェンジをする。

あの運動量で踊りながら歌う。年齢を考えたらあり得ない。ミックは長生きするだろう。ロックに健康を持ち込んだのもミックジャガーが最初だろうか。80年代、いいステージをするには体力をつけないといけないとし、水泳やジョギングをしていることを明らかにした。余談ではあるがオジー・オズボーンが思いのほか子煩悩であることもニュースになった。この頃日本でもツービートが痛快な漫才をやっていて、青春ドラマを笑い飛ばしていた。

「それらしきイメージ」というものの化けの皮をひっぺがし、「ぶっちゃけこうじゃねぇの」というブレイクスルーな時代だったのかもしれない。70年代の不良ステータスからミュージックシーンが健全になったのもミックのおかげだろう。相場には”行き過ぎ”というのがあり80年代はよりポップな時代へ突入した。振り返れば軽すぎた時代だろう。揺り戻しで落ち着いた90年代は俄然格好よくなった。

ミックとキースが1本のマイクで歌う姿や、チャーリーの”おじぃちゃん加減”を隠すことなくありのままでドラムを打つ姿や、ロニーのギターを持ったたたずまいなど、どこを見ても全てが格好よく、私は約2時間にやけていたと思う。”加齢”というマイナスに成り得る要素も全て格好よさに変えてステージに立つ。ツェッペリンほど凝ったリフではなく、いたってシンプルなのにキースが弾いているというだけで生でないのが分かっていてもイントロで鳥肌が立つ。

アメリカの「屋根のある公共施設」というのは禁煙だと思うのだが、キースには当てはまらない。ステージ上で平気で煙草をふかす。それを消さずに放り投げる。キースにこの条例を当てはめるのは無粋というものだろう。

私はミックでもなくキースでもなく、ロニーが本当に格好よくて見とれてしまった。あんなじじぃになりたい。スキニージーンズにギターを持った姿。ベルトのバックルでギターを傷つけないようバックルが真横に来ていた。キースがあんな風だから真面目にギターを弾く。

記者「ギターが上手いのはあなたとキースのどちら?」
ロン「もちろん僕だ」

記者「あなたよりギターが上手いとロンウッドは言っているが?」
キース「それは間違いだ。2人とも下手糞だ」

確かにキースが上手いというのは聞いたことが無い。キースのギターに上手いも下手もない。キースのギターはキースのギターでしかない。

[The Rolling Stones] には [ing]がある。デビュー時につけられたこの名前は英国のことわざ[A Rolling Stones Gathers No Moss]。転がる岩に苔は生えない。から取ったものだが、[ing]が後世こんなに意味があるとは誰も思わなかった。映画から感じるライブ感は、いま流行の再結成でなく[ing]であるバンドの音であった。

ライブ映像をカットしてデビュー2年目のインタビュー
記者「2年目ですが今後どのくらい続けられそう?」
ミック「あと1年はやるだろうね。」

再びライブ映像に戻る。あと1年どころではない今のストーンズのライブ。
今までの「バンドの映画」というものの構成にはうんざりしていて、単にライブそのままを見せてくれたほうがよっぽどいいと思っていたが、この映画の構成に関しては見事にやられた。インタビューとライブ映像のカット割が素晴らしく、しかもテンポが良い。

最後ステージを降り、会場から出てどんどん引きの映像になってニューヨーク上空まで行き、大きな月がストーンズの舌出しロゴに変わる。この星にストーンズと共に時代をすごしている。”音楽”って凄い。衣食住などと違って生活に絶対必要ではない筈なのだが、「絶対必要だ」としか言えない。

しかしストーンズはイギリス人。詩の内容など全て理解できるものでもない。ならば日本人同士であるエレファントカシマシと共に時代を過ごしている幸福。みな健康であれ!

おまけ:調子に乗ってストーンズを弾き語りしました。

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