『敗北と死に至る道が生活』その2260
私は子供だった。父は黙々と働いた。
私は子供だった。
母もパートで黙々と働いた。
私は風呂を沸かして待った。
父は黙々と働いた。
私は反抗期を迎えた。
母は毎日炊事をしていた。
私は小遣いをくれる親に反抗した。
父は黙々と働いた。
私は自分で働くようになった。
母は毎日洗濯をしていた。
私は一人で暮らすようになった。
父は定年で退職をした。
私はあまり帰らないでいた。
母はたまに帰るとご馳走を用意してくれた。
私は両親にすまないと思った。
父は黙っている。
私は月に一度は帰るようにした。
母は体が小さくなった。
私は二人を旅行に連れて行った。
母はさらに小さくなった。
父は黙っている。
死ぬまでに恩を返せるだろうか?