『敗北と死に至る道が生活』その2282
「密かなブーム」ってなんだろう。「秘湯で有名な温泉」に近いものがある。そんなことはどうでもいいが、角田光代さんの「八日目の蝉」がドラマ放映されているが、読売新聞で脚本家と対談していた。脚本家は角田さんの本を読んで感情移入して是非脚本をやりたいと思ったほどの作品だと言っている。それに対し角田さんは赤ん坊を誘拐したり不倫をする人の気持ちは全然分からないので感情移入出来ない。と、答えていて愕然とした。
自分が感情移入出来ないものを作品として書けるというのが凄い。自分がやりたいものをやるのは趣味で、他人が要求するものをうまく汲み取って出さないと仕事にならない。サラリーマンなんか「他人が要求するもの」のみで成り立っている感もあるが、個人で自由に作品を作れるのに「他人が要求するもの」を選択する。それもプロだろう。
「他人が要求するもの」を「自分がやりたいもの」に同化させることが出来れば更に凄い。昔は「自分がやりたいもの」しかやらなかった宮本さんは最近そうなっている気がする。加齢という名の経験がそうさせているのか、気持ちの変化なのかそんなことはどうでもいい。更に凄い領域に我々は現在進行形で立ち会っているという事実だけでよい。あくびしてたら殺されるかもよ。