『敗北と死に至る道が生活』その2302
ドラマ「MOTHER」を見た。子役が上手すぎて”演じている”を意識させられて醒めた目で見ていた。が、それを乗り越えて泣いてしまった。あの子何者だ。一方、こんな親いる?というのがまともな感覚だと思うが、現実に虐待されている新聞記事やニュースなどを見ると、こんな親いるのだ。オーブンに入れてスイッチオンにした。現実の方がもっと行っちゃってる。恐ろしい。一方で世話しても世話しても泣き止まないので一歩踏み出してしまったという記事も読んだ。その一瞬の感情だけは理解できるが、連続した感情は理解できない。
そんな親がいるかと思えばこんな親もいる。うちの母はお腹が空くと「おおなかぺこちゃん」と謎のセリフを口にする。70を過ぎた大人がそんなことを言うものだろうか。耳をダンボにして聞いても「おおなかぺこちゃん」と聞こえる。恐らく耳にダンボールを当てても「おおなかぺこちゃん」と聞こえるだろう。
更に私に向かって言う。「おおなかぺこちゃんだろ」と。昔住んでいた社宅の奥さんが大仲さんという人で不二家のキャラクターに似ていたことが由来だと聞いた。大食いでもなく太っていたわけでもなく会うたびに何かを食べていたという記憶も無いが両親の隠語として定着したものらしい。大仲さんは小林明にゴルフ場として土地を売ったが掘ったら岩だらけで使い物にならなかったという大仲さんである。使い物にならない土地を売って大もうけしたというあの大仲さんだ。
知らないっつうの。「おおなかぺこちゃんだろ」は70を過ぎた大人と40を過ぎた大人の会話ではない。そんなセリフを断ち切りたくて私はいつもこう言うのだ「おおなかぽこちゃんだ」と。「おおなかぽこちゃんって何?」と聞き返されるが、その前に「おおなかぺこちゃん」って何だよ。決して人には言えない家庭事情である。