福岡市民会館に行ってきた。博多ラーメンは「意外にあっさりしている」という店ばかりで「こってり」した店がない。こうなると「意外に」の意味がわからなくなってくる。「意外にこってりした店がない」のだ。天神のラーメンはあっさりしていて、長浜のラーメンはこってり系とも聞く。一口に博多ラーメンとも言えない状態なのだろう。
セットリストはまだ書かないので安心して読み進めてください。
客席に対する入り具合は70%程度だろうか。
当日券の窓口には閑古鳥さえ寄り付かない。
地方は入らないと聞くが、九州最大の都市・福岡ですらこの状態なのか。
前のほうはおそらくファンクラブ会員がほとんどなのだろう。
みんな振り返って客席を気にしている。
「あんたが心配することじゃない」と、思いながら私も心配してしまった。
御当地ソング福岡版。このコード進行は捨てがたい。
まるでニルバーナのカート・コバーンが得意な屈折したコード進行のように「普通はそうしない儚(はかな)さ」を持っている。ミヤジは一度美しいものを作って、「どこか一箇所壊す」という作業を無意識にやっているのだろうか。それは夜のうちに降り積もった雪が美しすぎるから駆け回って破壊したいという衝動に近いのかもしれない。
私が一番凄いと思ったのは「ライフ」収録曲ではなく昔のあの曲のことだ。
かなりパワーアップされた。
椅子に座ったミヤジのアコースティック1本で始まるこの曲は最後に爆発するんじゃないかと思うようなエネルギーを秘めている。
福岡ではギターを弾いているポーズのままアコースティックギターをころげ落とし、スタッフがエレキギターをあてがいつつもミヤジはその姿勢のまま歌いつづけていた。私はこのたった1曲で完全にやられてしまった。「すさまじい」という普段あまり口にしないこの言葉がぴったり当てはまった。
客を叱咤したり、石君をイジったりする「ミヤジの緊張感」が嫌いだと言う人もいるだろう。ただあの緊張感がなくなった時、エレカシはエレカシではなくなる。私はいつまで経ってもエレカシを初めて見るようなドキドキした感覚に陥る「ミヤジの緊張感」が嫌いではない。『ステージ上のロックミュージシャン』を日常感覚で見てはいけない。普段のミヤジはたまたま見かけたファンにはとても優しく接すると聞いた。エレカシのステージがフレンドリーであってたまるものか。