管理日誌エッセイ
『敗北と死に至る道が生活』その14
私は以前ほど本を読まなくなった。
子供の頃は活字中毒でバスの窓から見える看板を片っ端から読んで涎(よだれ)を垂らしていた程である。
今でも気が付けば缶コーヒーの原材料が書かれたラベルをじっと見てしまうことがある。さすがに涎(よだれ)は垂らさなくなった。大人になったものよ。
『活字を追う』という行為が好きなだけで内容なんかどうだっていいのだ。かといって電話帳を読んでみたらすごく退屈だったことがある。登場人物が多すぎるのだ。
保育園の頃「ニッカウヰスキー」という看板が読めなくて悔しかった記憶がある。
『ヰ』
なんなんだこの外れてしまった部品みたいな字は。
本を読まなくなったのは値段が高いからである。
単行本は安くても1200円くらいするし、文庫本も500円くらいだ。
牛丼一杯の方が安いのだ。もっとも牛丼が値下げしたというのもあるが。
タバコを買って、コーヒーでも飲んで1日1冊本を読めばすぐに1000円を超えてしまう。
読書家は月に最低3万はかかる。
1年で36万円。
100年で3600万円。
100年で3600万円かぁ。安いもんだな。
という訳で久しぶりに図書館へ行ってみるつもりだ。