『敗北と死に至る道が生活』その102
私が尊敬する宮沢章夫氏の日記で、人に会うのがおっくうだと言っている。私も深く同感だ。Sep.25 wed.「この国の不幸」田口さんは拉致された時点で3歳と1歳の(赤)子供がいた。
政治的な話は様々な意見があり、見る立場によってはそれぞれが正しいので極力避けてきたが、これだけは言わずにいられない。
例の拉致事件である。李恩恵として拉致された田口さんのことだ。(飛)大韓航空機爆破事件の金賢姫に日本語を教育したということで、残された家族にマスコミやら知らない人からのいやがらせがあり、拉致疑惑の家族会にも入らず、なりをひそめていたが、今回、家族は訪朝団に調査依頼をしたそうだ。
私は今、金賢姫が書いた『忘れられないひと』という本を読んでいる。田口さんを先生に二人で過した日々を綴っている。現地に連れて行かれた身としては逃げだすことも何も出来ない。その手記によれば、鳥をじーっと見つめていたそうだ。翼があれば日本に帰れると思ったのだろう。
相手は国家である。となると、そこで生きてゆかなければならない。もしそれが私でも命令されれば理由など知らずに日本語教育をするだろう。生徒としての金賢姫はかなり優秀だった。彼女にしてもそれが正しいと教育されてきた真面目な少女だったのだ。タバコや生活必需品も与えられていたようで、田口さんの誕生日にはパーティーもやっていたらしい。何の肉か知らずに食べたのが犬の肉で意外においしかったそうだ。たくましく生きていたのが分る。
日本の週刊誌を教材にしていた。女性のあられもない姿の写真は入手時点で切りとられていたというが、たまにそのまま渡され、『切りとるべき部分を切れ』と言われたそうだ。確かに日本の週刊誌は子供に見せられないほどの写真が沢山ある。これが堕落した資本主義国家だと言われれば、こんな堕落した社会はいやだと思うだろう。
自分の意志ではどうすることも出来ない状態でおこなったことで、残された家族にいやがらせをする人とはどんな人だろうか。こんな手記を読んだ家族だって相当つらいはずなのに、更に日本人からいやがらせだ。今回やっと調査依頼したことで、ふたたびこのような事が無いように願うばかりだ。
二十数年も放ったらかしにされ、歴代総理が何も出来ていないという相対的な意味では小泉さんを評価せざるを得ない。歴代総理がマイナスで小泉さんがやっと普通なのだとは思うが。
『総理大臣アホ面こいて説得力ない』という歌の当時は森首相だったのだ。