『敗北と死に至る道が生活』その157
私はひきこもりだ。出張や旅行に行くと、行きの段階で既に帰りたくなっている。しかし実際は帰らない。というのもいい大人なのだし、勇気が無いからだ。会社や出張に行くときに『逆行きの電車に乗ってしまいたい』という欲求は誰もが持っていることだろう。みんな勇気が無いのだ。何の連絡もせず、会議をさぼって、海辺でおにぎりでもほぉばったらいいさ。少しは山下清気分にでも浸ったらどうなんだ。出張は長ければ長いほど、家に帰ってきたときの落ち着き感が増す。私がシンガポールに1ヶ月出張したのもひとえに『家に帰りたい』という気持ちが大きいからだし、私がバイクで日本中を走るのも実際は『家にいたい』からである。こうなると一生放浪でもして死ぬ間際に家に帰って来たらどんなに幸せかと一度でいいから試したくなるというものだ。ひきこもりにも程がある。