『敗北と死に至る道が生活』その175
どうやら私も体力が落ちてきた。切り傷は治りにくくなったし、めしは一膳しか食べられなくなった。愛の痛手なんかからは完全に立ち直れないことだろうし、雨の日の夜なんか道路の白線が見えないので車線がわからないし、雲がかかっている時のジャンボジェットの操縦はとても怖くなってきた。雲間から何か巨大な怪獣が突然飛び出してくる気がして思わずブレーキを踏んでしまう。そんな時は敵機と太陽の間に入れば相手からは非常に認識されにくくなる。私はこうやっていくつもの危機を乗り越えてきた。日本も人間に例えれば完全に老人だ。ゼロ戦乗ってた頃が青春で高度経済成長が壮年。となれば再び上昇することなど無いだろう。ゆるやかに死にゆく運命。まぁいいさ。人生折り返した。これから生きていく人の方がよっぽど大変なことだろう。