『敗北と死に至る道が生活』その257
紳助がこう言っていた。『尾崎豊はあの歳で死ねてよかった』と。私もそう思う。私は尾崎豊世代だ。だから当時は結構ハマって聞いていた。今の歳になって尾崎豊を聞けと言われたらどうだろうか。尾崎豊は10代から20代前半でしか聞き得ない音楽だと思う。
30代だからといって否定している訳でもなく、10代から20代前半向けとしてはかなり肯定出来るし、素晴らしい才能であったと思う。彼がもし今生きていたら昔の曲を歌えるだろうか。嘘はつけない。
いや。彼の歌詞は嘘ではない。全て真実だ。15歳で盗んだバイクで走るのも止むを得ない。しかし30歳過ぎて盗んだバイクで走ったらとしたらかなりまずい。
嘘ではないが時間が過ぎただけだ。
『嘘つきじゃないさ、時間が過ぎただけさ』
そういう意味で、デビュー曲が歌えるというアーティストは本当にすごいことなのだ。『金があればいい』なんて70代で歌っても嘘にならない。素晴らしい。