『敗北と死に至る道が生活』その506
あなたはインドに対してどうだ。人生を深く考え始めると人はインドに行きたがる。かどうか知らないが、インドに行ってはまる人と全くはまらない人がいるらしい。私は自分でははまる予定だった。しかしいざ行ってみたらやっぱりだめだった。ガンジス川にだって浸かる予定だったのだが、一刻も早く日本に帰りたくなった。牛が歩いている。高速道路を牛が歩いている。ラクダが荷物を引いている。高速道路でラクダが荷物を引いている。車が逆走してくる。高速道路で車が逆走してくる。この国に高速道路があること自体がおかしいのだ。
子供が糞をしている。道の真中で糞をしている。バスが信号待ちをしていると開いている窓から手が入ってくる。金をくれと手が入ってくる。足の無い人がうごめいている。物乞いの路上生活者がいる。町が汚い。混沌としている。貧富の差が激しすぎる。そういうのがいいという人もいる。でも一度は行ってみたらいいかもしれない。タージ・マハールだけは美しかったし、日本の素晴らしさを知るためにも。