『敗北と死に至る道が生活』その509
生乾きの雑巾はなぜあんなにも臭いのだろう。妙な細菌が発生しているからではないだろうか。だとしたらそれは不衛生な状態が臭いのだからこんなに便利なことはない。簡単に危険を察知できるからだ。もし生乾きの雑巾からフローラルの香りがしたら顔を拭いてしまうだろう。小さなお子様なんか舐めてしまうかもしれない。そうならないように不衛生な状態は臭いように出来ている。不思議だ。細菌が本気で人体に入りたいのなら臭い匂いなんか発生してちゃだめだと思う。やつら単細胞だから何も考えていない。その点、花は頭がいい。自ら繁殖しなくても人間が栽培して繁殖させてくれる。『美しく咲く』という卑怯な手を使っている。猫も犬も『可愛く見せる』という卑怯な手を使って繁栄している。サンマや牡蠣やリンゴや蜜柑なども『おいしく食べてもらう』という卑怯な手を使って繁栄している。結局喰われてしまっている。こうなると未来に子孫を残すということ自体の意味さえよく分からなくなってくる。そうまでして喰われて一体なんなんだと。だから結婚しない人間が増えている。シングルルームのマンションが売れている。空き巣とゼネコンのやりたい放題だ。