『シューマッハが勝てなくなってからF1が面白くなった生活』その954
三菱鉛筆は三菱財閥とは無関係だそうだ。以前は三菱財閥系だと思われてメリットもあったのだろうが、今となってはデメリットの方が大きい。と思う。そんなことはどうでもいいが、会社にとっての利益とは売上げを上げること、損を出さないこと。社員への給料は会社から見れば損金だ。学生時代アルバイトでセイコー精機でトヨタ電装の車用エアコンコンプレッサを作っていた。普段は淡々と油洗浄とフタのネジをしめていた。いわゆる流れ作業というやつ。
先頭の品出し(コンプレッサのケースをベルトコンベアに載せる)の担当者が休んだので急遽私がやることになった。載せるだけでいいからと言われたのだが、直後の自動ネジ締めマシンがネジを入れ損なうとそれを私が直さなければならない。エラーが発生すると赤ランプがクルクル回る。その間ベルトは完全停止。ベルトに配置された全ての人が作業中断となる。
私は淡々と品出しをしたのだが、周期的に赤ランプがクルクル回る。私も学習した。ある特定の台座に載せると、うまく処理されることもあるのだが、たまにエラーが発生することが分かってきた。どうやら軸がズレているので、ドライバーと穴の位置が常に合わない状態になっている。
そこで私はその台座を見極めるため、鉛筆で連番を振っていた。『21』がそれだった。『21』が戻ってきたときにマジックで『×』を書いて、その台座にはケースを置かずにスキップするようにした。そうするとエラーは皆無になり、作業がはかどった。一番いいのは軸を調整することだが、アルバイトの私には無理だった。
翌日、工場長が『昨日は工場始まって以来の生産高だった。みんなの頑張りのおかげです』と発表した。工場長も何故そうなったのか分かっていない様子だった。
その日、私は元の担当箇所、油洗浄とフタのネジに戻ったが、先頭担当者を見ると『×』の台座に乗せてエラーを発生させていた。学習能力が無いのだろう。こういう作業については大学卒とかIQなど全く関係ないから採用試験でもよく分からない。一ヶ月仕事をさせて『不良台座を見極められるか』で採用すればいい。