『敗北と死に至る道が生活』その2814
タイムマシンで過去や未来へ行けることになったとしても一人目にはなりたくないものだ。本当に行けるのか?とか、帰ってこられるか?とか、そういう問題じゃなく、帰ってきたら質問攻めに合うだろう。「史実はどうだったんだ」とか「埋蔵金はどこに埋めたんだ」とか「紫式部は美人か」とか「龍馬にサインもらったか」とか。こうは見えても私は歴史がよく分かっていない。壇ノ浦の合戦とか関が原の戦いとか言われても何がどうしてどうなったか分かっていないので、タイムマシンに乗って関が原の戦いを見てきたとしても、それがどっちのチームの人で勝利者インタビューを誰に聞いたらいいのかなど、さっぱり分かっていないのだ。ただ観戦するだけ。「馬が凄く興奮していた」とか「意外に短時間で終わった」とかその程度しか報告できない。
スポンサーに「商品以外の質問はやめてください」と言ってもらってすごすご退散するしかない。裏に引っ込む瞬間「なんであいつに行かせたんだよ」という陰口まで聞こえる。だからどうか私をタイムマシンの一人目にしないで欲しい。
こうやって不要な心配ばかりしているから、日々疲れてしまう。