管理日誌エッセイ
『敗北と死に至る道が生活』その6
こうは見えても私はオートロックのマンションに住んでいる。
住人しか持っていないカードを挿入するとドアが開く方式だ。
安全かと問われればそうでもない。住人の誰かが入った直後に付いていけば誰でも入れるのである。
ましてや先日こんなことがあった。
私がカバンの中からカードを探していると、先に中に入ってエレベーターを待っていた人が自動ドアの板を踏んで開けてくれたのである。相手は親切だと思ってやったのだろうが、私が不審者だったら、『どうぞお入り下さい』という状態なのである。
私は内心そう思いながらも、「あ、どうも」と裏腹な挨拶をしてエレベーターに乗った。昔の私であれば説教していただろう。「何故開けるんだ」と。相手にとったら逆ギレ状態だ。
いずれにせよオートロックはさほど安全でない。