『敗北と死に至る道が生活』その52
今はパソコンで文章を書く。少し昔はワープロで文章を書いていた。もっと昔は原稿用紙か。いや万年筆だろう。今でもこだわって原稿用紙の方もいると聞く。それにしたって万年筆だろう。
私はこうしてパソコンで文章を書いているが、原稿用紙と何が違うかと言えば、あまり考えずにだーっと打ち込んでしまい、あとから手直し出来るということだ。カット、コピー、ペースト。カット、コピー、ペースト。やれカット、コピー、ペースト。これがいいことなのか悪いことなのか分からない。
原稿用紙だと頭の中でじっくり考えてから書く。昔の作家は一度書いた物を書きなおしたいと思っても少々のことは妥協し、そのままにしたのではないだろうか。ある意味『ライブ一発勝負』といった緊張感の文体と言える。
パソコンだと極端に言えば「段落ごと」入れ替えてしまったりも出来る。どっかのホームページからパクってきて貼り付けも出来る。おかげで話のつじつまが合わなくなったりもする。それでも直木賞取っちゃったりすんだからさぁ。たまったもんじゃないですよ。直木三十五自身は直木賞貰ってないし、芥川龍之介も芥川賞貰ってない。当り前か。
そう言えば私は、万年筆というものを見たことが無い。鶴は千円札、亀は万年筆か。