『敗北と死に至る道が生活』その267
犬は人の数千倍の嗅覚を持っていると言われている。しかし犬同士はお互いのケツの穴を平気で嗅いでいる。例の匂いの数千倍。例の匂いの。『例の匂いの数千倍』ですよ、食事中のみなさま。
戌年の人と犬座の人には申し訳ないが、犬と聞いてあまりいい印象は浮かばない。「負け犬」「犬死に」「犬の遠吠え」「犬の腐ったような奴」「鬼の犬まに」・・・。
私は犬の精神構造が大嫌いだ。人間に飼われていればいつでも飯が食えると思っている。首に輪を巻かれても取る素振りも見せない。だいいちうるさい。何のために生きているのか分かっていない様子さえない。動物の中で最低な動物なのだ。
なんでケツの穴の匂いを嗅ぐのだ。そしてひとたび後ろから行ってケツの穴を思い切り蹴飛ばせば「キャンキャン」言いながら逃げる。あのきょとんとした媚びたような目つきはなんだ。嬉しいときには尻尾を振り、いかにも「私は嬉しいのだ」とアピールする。クールさの微塵もない。男だったら嬉しくても笑わないことだ。何があってもドーンとクールに構えていなければだめだ。そのくせ人間を噛み殺すこともある。安産のシンボルだというがあんなものは嘘だ。犬はかなり難産だと聞いた。ソロバンもあまり得意じゃないらしい。