『敗北と死に至る道が生活』その519
この頃エレベーターが落ちたらどうしようかということばかり考えている。私の通勤は2台のエレベーターを乗り継ぐことのみによって成り立っている。そう言えばエレベーターが落ちたなんていうニュースは私が生まれてから1回しか聞いたことが無い。それもエレベーターの会社がテスト運転をしている最中だったと思う。一般的には落ちないのだろうか。たとえロープが切れても落ちないような構造になっているのだろうか。私の妄想はとどまることを知らない。例えばドアが開いて出ようとした瞬間に落ちたとしよう。頭だけ出て、足はまだエレベーターの方に残っているとする。そこでエレベーターが落ちたらきっと頭と胴体が切断されてしまう。頭だけ10階で、胴体は1階まで落下するだろう。考えただけで恐ろしい。それからというもの、エレベーターを降りる時はぴょんと飛び出すように降りている。
はたから見たらなんとも不思議な光景だ。街で見かける挙動不審な人はみんなそれぞれの妄想を抱いて生きているに違いない。