『敗北と死に至る道が生活』その541
どっかの市とどっかの村が合併するというが、県が違うそうで、話が穏やかではない。隣接しているが県が違う。これが合併すると何県なんだろうか。私は境目というのは非常に面白いものだと思う。どこかに線を引かなければならない。何を根拠に地面に線を引くのだろうか。河川で分離されているなら話は早い?と思ったが東京と埼玉、或いは神奈川の境目は川を右往左往し、多摩川の南側のほんの少しの部分が東京だったりするが、千葉県とは江戸川で綺麗に分かれている。過去の河川の境目が洪水や氾濫で変わってしまったのだろうか?大師橋の東京側のふもとなんか『神奈川が管理しろよ』とばかりに神奈川県の所有地にされている。
お台場なんかあんなに狭い埋立地のくせに、港区、品川区、江東区と分かれている。フジテレビは港区、Zeppとか観覧車があるところは江東区、船の科学館は品川区だ。そうかと思えば品川駅は港区にあるし、目黒駅は品川区にある。新宿タカシマヤなんか渋谷区にあるし、豊島園なんか練馬区にあるし、日比谷バー新宿店なんか新宿にある始末だ。地図を眺めていて飽きない。
例えば魚沼産コシヒカリは新潟県魚沼地区で採れた米だけのブランドだ。魚沼郡の境目である畦道ひとつ挟んだ隣の田んぼで採れた米はコシヒカリかもしれないが、魚沼産ではない。しかし同等においしいのだろうと誰もが思う。
となると、一つ隣の田んぼくらい許してあげればいいじゃん。と誰もが思う。魚沼産にすれば一気に値段が上がるからだ。そうするとまたまた一つ隣も許してあげないとだめだろう。『なんで源さんとこの田んぼは良くてうちの田んぼは駄目なんだ』と留吉さんだって黙っちゃいないだろうからだ。そうするとまたまたまたまた一つ隣・・・・。
とやっていくうちに、いつのまにか山口県の米も魚沼産だと言える。さすがに九州の人は『九州産は魚沼産じゃないね』と誰もが諦めもつくことだろう。そこには『海があるから』という理由しかないのだ。誰もが『海があっちゃぁだめだ』と口にしがちだ。恐るべし境目問題。