『敗北と死に至る道が生活』その563
日曜日はなにもせず過ごした。人はこんなに眠れるのかと思うほどに寝てばかりいた。外の空気にあたらないといけないような気がしてオペラシティーの紀伊国屋に行った。何冊か立ち読みしていたが買うべきような本などひとつもなく、爆笑問題の太田のエッセイ本を買おうかとも思い、立ち読みしてみたら、書いてることが私に似ていて、これだったら買う必要もないと思い、読みかけの位置にしおりを挟んで何も買わずに帰ってきた。趣味らしい趣味もなく、一人でぼーっと過ごしていると何のために生きているのか分からなくなる。老後の暮らしが不安で節約している自分が情けなくもある。60くらいでぽっくり死ぬのなら貯金などせず手当たり次第金を使ってしまいたいくらいだ。死ぬときがいつだか分からないので将来設計も出来ない。だから世間一般には『生きる』ことを前提に将来設計している。60の誕生日に自殺する前提で将来設計したらいいのかもしれないが自殺する勇気などない。
私の祖母はかなりの年齢だが老人ホームで過ごしている。日々何を思って生きているのだろうか。先日訪ねたら『なぜ生きる』という本を読んでいた。結論なんか出ないだろうに。
私の父は脳梗塞で入院し、今は自宅から通院しているが、母によれば病院に行かない時もあるらしい。そして人生を半ば諦めているとも。私は妙な話、父が人生を諦めていると聞き、ほっとしている。周りからは、『もっと長生きして』と言われるが、長生きして何になるのだろう。この先何があるというのか。
もし父が死んでも『人生を諦めていた』という状態ならば覚悟は出来ている。しかし『もっと生きたい』などと言っていたのなら、とても悲しいだろう。母は病院に行かない父を少々憎らしいと感じているだろう。もし父が死んでも『少々憎らしい』状態の方がいいのかもしれない。好きな人が死んだらつらい。
もしかしたら父はそんな状態に持っていこうとして、わざと人生を諦めたり、母に迷惑をかけているのかもしれない。だから私もそんなにいい人になる必要もない訳だ。
それでも毎年桜は咲いている。
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