『東京に住んでいても、あー。もんじゃが喰いたいなどと思ったことが一度もない生活。お好み焼きの方がうまいぞ』その950
10年前の自分を振り返るとかなり恥ずかしい。毎晩飲んだくれていた。毎日が楽しくてよく『はしゃぎすぎだ』と言われた。どうでもいいボケをかまし、誰かがボケればすかさず突っ込んだ。家に帰れずカプセルホテルに泊まった。『明日また出社するのにどうして家に帰るのだろう』という素朴な疑問を抱きながら。今となっては何が楽しかったのか分からない。虚しいばかりだ。今の事務所で仕事中に20代の社員は馬鹿話ばかりしている。立ち上がるレッサーパンダなんかどうだっていいじゃないか。まぁかつての自分がそうだったのだから放置しているが、仕事の邪魔だ。大人はこういう具合に見ていたのかと振り返ると恥ずかしいのだ。
今では、ボーズの騒音を打ち消すヘッドフォンをして仕事をしている。このヘッドフォンをすると何も聞こえなくなり、仕事に集中できる。理屈はよく分からないが、周囲の音と反対の位相の音波を発生させているらしい。
一度車を運転しながらつけてみたことがあるが、タイヤの音が消えた。空を飛んでいるようだ。かえって危ないかもしれない。説明書を見たら車の運転中は装着するなと書いてあった。