『人間って何だ生活』その1593
実家の母に、天ぷらをするときは粉を混ぜすぎるな。とあれほど言っているのにねちゃねちゃに混ぜておよそ天ぷらとはほど遠い『平らでないチヂミ』を食べさせられる。でもそれは最近言わないようにしている。料理してくれることがありがたい話だ。それでも醤油つけて食べたらそこそこうまいし。明らかに天ぷらではないが。そんなに言うのなら私がやってあげればいいのだし、かと言ってやらないが、老人でも体を動かさせて健康的にさせよう。何でもやってやるのがやさしさだと思ったら大間違いだ。そんな丸くなった私でも少々苛立った。母とホームセンターへ買い物に行った。鍋を買うというので、何のサポートもせず、後ろから様子を見ていた。信じられないことに並んでいる商品をいちいち見て『ここでもない』。次の列に行き『ここでもない』と探している。よく分からない。
上部には『台所用品』だの『洗濯用品』だのインデックスが振られている。何故それを見ておおよその位置を把握しようとしないのだろうか。今までそうやって生きてきたのだろうか。おばぁさんだから許されるとでも思っているのだろうか。私なんかより約2倍も経験豊かな筈なのに。山にマツタケを探しに来た気分だ。
しかもそのホームセンターは何度も行っており、特にレイアウト変更があった訳でもなく、夏にはまな板を買っているのだ。うちの母が特殊なのだろう。なんだかチンパンジーに『上手に買い物出来るかな?』のコーナーかと思った。
付き合ってられないので鍋のコーナーに連れて行った。で、レジに並んでいるとき『ぽけー』っと待っている。順番がきて金額が出てからやっと財布を取り出す。私が『小銭で99円用意しておくとかしないの?』と聞くと、『あぁそうだな』などと口裏を合わせる。どうせもうすぐ死ぬのだから今更言っても仕方が無いか。こういうのは教えられることでなく、生きていれば誰も気がつくべきコツだろう。私なんかより約2倍も経験豊かな筈なのに。
私も年を取るとこんな風になってしまうのだろうか。答えは30年後。
結論なきまま死に至る可能性大。