『敗北と死に至る道が生活』その2217
土日は実家へ帰っていた。月に一度は帰るようにしている。母が若干老けた気がした。昔は若かったので文句の一つも言ったが、今となってはおばぁさんに何か言っているようで可哀想なので何も言わない。これがいいことなのか悪いことなのか分からない。昭和初期に生まれた人は、兄弟が多くて学校を卒業すれば家を出て仕事をして仕送りをする。男も女も関係ない。みんなそうだった。悪く言えば「口べらし」だ。家を出ればひとり分の食事が浮く。偉くなくてもコツコツ働いて私達を育て、小さな家を買って普通の生活をしている。たいしたものだ。
と思っている。という話をした。
寒い台所で電気もつけずに唐揚げを作っていた背中が小さく見えた。
食べ終えてから無言で食器を洗ってやった。背中越しに母が見ていた。私の背中はどう見えただろうか。