『敗北と死に至る道が生活』その2312
帰りの電車で妊婦さんのバッチをつけている人がいたので席を譲った。そんな私は偽善者か。人間は無垢で生まれるが、成長するにつれ、だんだん棘だらけになる。青年期を過ぎ、社会に出れば棘は摩擦で磨り減って丸くなってゆく。摩擦を避けると棘は残ったままだ。”ひきこもり”などしていたら摩擦が無いから棘だらけだ。棘だらけのまま大人になると自分の家族まで傷つけてしまう。
翻って己自身を鑑みる。さしたる摩擦はないかもしれないが、社会人として生きてゆけば最低限の摩擦はある。人見知りなので棘が磨り減るまで時間がかかった。なんであんなに怒っていたんだろう。傷つけてしまった人たちごめんなさい。今では残しておくべき棘まで折れてしまったかと心配なくらいだ。”残しておくべき棘”ってあるんだろうか。それすらも分からないが、あまり丸くなると転がり続けてしまうかもしれない。