『敗北と死に至る道が生活』その4218
実家の庭に藤の木がある。咲かなくなったのは父が死んでからだ。きっと何らかの世話をやっていないせいだろう。それが何か母も私も分からない。水をやり、たまには肥料をやり伸びすぎたツルは切ってみたりしている。今年も咲かなかった。咲いたら咲いたで嬉しいのだが、手入れをしているという状態の方が重要なのだろう。花は咲かないが青々した葉っぱは綺麗に伸びてくる。母は自分で胸にしこりを見つけて検査した結果が今週末あたり出る。親戚との電話のやりとりで「なるようにしかならないからね」と言っていた。母は窓から咲かない藤を見てじっとしていた。