『敗北と死に至る道が生活』その606
サイは意外に大きい。動物園に行ったら私はサイをずーっと見ている。巨大な岩石があるかのようなたたずまいに圧倒される。動物園のサイはあまり動かずじっとしている。しかしいざ走れば時速50Km/hで走れるというから驚きを禁じ得ない。フルマラソンだって1時間を切る。人間よりよっぽど速い。要するに走る意識と持久力の問題だけだ。そんなことはどうでもいいのだが、私は人間に生まれてほっとしている。もしクマにでも生まれていたらサケを生のままかじらなければならない。生臭くて仕方がない。とはいうもののサケにでも生まれていたらクマにかじられてしまう。人間は何かにかじられるという事態にあまり陥らなくてほっとしている。