『敗北と死に至る道が生活』その625
赤いペンキは落ちやすいのだろうか。朽ち果てた看板は得てして赤いペンキのところだけ落ちて黒いペンキの部分だけ残っている。更にまずいことには赤く書いた部分の方には大抵、重要な文字が書かれている。私が見た交通標語らしき看板もこんな感じになっていた。『飛び出す○○飛べない○○』
一体何だと言うのだ。想像力のみが膨らみつづける。空白の大きさから察するにそこには2文字書かれていたと予想される。道路に飛び出すのはタヌキかもしれないし、ウサギかもしれないが2文字だとするとどうだ。タヌキは狸だし、ウサギは兎だ。2文字の動物って何だ。私は十二支が言えない。いつも『ねー、ムーミン』と言って誤魔化し続けてきたからだ。牛、虎、辰、巳、馬、羊、猿、犬、猫、熊、蛙・・・いつまで考えても動物は1文字だ。
縞馬。21世紀今日現在このニッポンでシマウマが飛び出してくるだろうか。
荒馬。ちょっと無理矢理だ。形容詞が混ざっている気がする。
牡馬。ぼばと読む。オス馬のことだ。
牝馬。ひんばと読む。馬ばっかりだ。
そして『飛べない』方は何なんだ。こんなことではかえって交通事故になってしまうではないか。