『ヒマラヤは寒き生活』その1063
沢木耕太郎『凍』を読んだ。登山家はなぜ山に登るのだろう。私は『そこに山があるからだ』などという理由では山には登らない。誰か私に問うてほしい。『何故そんなに迂回するのだ』と。私はすかさず『そこに山があるからだ』と言うだろう。凍傷で指18本を失ってまで登る。ロープに身を任せて眠る。登山家は職業も人生も存在自体が登山家なのだろう。だから山に登る。家に帰ってきても『やっぱり家が一番ねぇ』などといって下着を脱ぎながら腹を掻くこともないのだろう。私にはわからない。わからない私に一気にこのストーリーを読ませてしまう沢木耕太郎という人も凄い。
沢木耕太郎というフィルターを通すと読者は神の視線に立てる。
国勢調査に協力出来ていない私が何を言おうが無視して下さい。