『名人も人なら我も人』その1412
千原ジュニアの『14歳』を読んだ。一気に読んでしまった。凄い。東京タワーの百倍良い。ドラマ化してほしい。しかし『お笑い』の道に入ってよかった。私にとってもそうしてくれてよかった。千原ジュニアの世界が好きだ。中学~高校~吉本に入るまでの人生を淡々と描く。家族から見れば壮絶なのだろうが、本人はいたって冷静に自分を分析しつつ生きている。普通の人間が『みんなと同じはいやだ』と思っているくせにみんなと同じ学校へ行き、みんなと同じ生活をしている。ジュニアはその段階から『みんなと同じはいやだ』を思っていて『実行している』。ゆえに不登校。ゆえに引きこもり。人生の輪廻転生が人より多いから違和感があるのかもしれない。
夜中にバットを持って出かけるとき、父に『野球がんばりや』と言われる。父は帰ってくるまで玄関で待っていた。淡々とした愛情。テレビでやっている不登校の特集番組を見ても『あいつらとは違う』。家族は息子が何を考えているのか分からない・・・。己の道はどこだと探している。その考えさえ両親は知らない。そんな本だった。
私にもそんな時代があった。
数年家族の誰とも口を利かなかった。理由はなんだと問われても困る。ただ用事がなかった。今振り返れば父や母に大変失礼なことをした。メシを作ってくれる。風呂を沸かしてくれる。息子は何も話さない。。。。
親戚のおっさんが死んだ。父にそっくりな父の兄だった。そこから意識が変わった。『こんなことしていたら両親が死んだとき悲しい』。私はそこから変わった。両親にとっては息子の意識が突然変わったのだから訳が分からない。親孝行したい時に親がいなくて後悔する前に気が変わってよかった。父がプチ脳梗塞で倒れるまでは毎年旅行に連れて行った。お年玉を1万づつあげるようにした。誕生日にも1万あげるようにした。用も無いのに毎月実家に帰る。灯油を買ってこようか。母よ車で買い物に行かないか。私に出来る淡々としたこと。
失敗している人間のほうが強い。そんな意味で、そのまんま東の動向を見守っている。人の心を見たければ患ってみろ。