『マリテ+フランソワ・ジルボー』その1529
連休は実家に帰っていた。父は病気で毎食後薬を飲むのだ。結構な種類の薬を飲むのだが、それの仕分けを母がやっている。指示された量に袋から取り出して、与えられて飲む。母は無言でそれをやっているが、父が出来るはずのことを母がやっている。私はなんともやりきれなくなった。母は旅行に行きたいらしいのだが、父がそんなことだから行けない。昼に外出するときはあらかじめ薬を小分けにしておいてやるのだが、帰ってきて見ると飲んでいないのだそうだ。
私には意味が分からない。年をとったらなるべく迷惑をかけないように生きていたいものだ。私だったら自分でやるし、旅行に行きたければ行けるように心配ないように振る舞う。父は何を考えているのだろう。もういい年なので私も何も言わない。何も言わないというのは、『あきらめている』のだ。
人間、あきらめられたらおしまいだ。昭和初期のおっさんはみんなこんななのだろうか。母がかわいそうだ。